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 先生からの言葉(巻頭言



「日本文字」を伝えよう
全国書教研連盟会長
安 藤 隆 弘


 ◎文学作品のなかの「字引・辞書」
○川柳
 電子辞書やっぱり引くと言うのかな
 豊中 丹下弦太(仲畑流万能川柳 平成二一年一〇月 二一日)
「引く」とは綱引きのように、引っ張り合うの意と、く じ引き・宝引きのように多くの中から抜き出す意もあり ます。この句の場合は後者の意となるので、やはり「引 く」と言うのであります。
「辞書を引くとはどういうことですか」と質問した学生 がいました。高等学校まで英語圏で過ごし、帰国子女と して英文学科の学生でした。「英語の先生が辞書を引き なさいと言われるが、どうするのですか」ということで す。英語であればさしずめ「consuit a dictiry」であり ます。この質問の場合には「ひくーpull」とはなりませ ん。日常的慣用している何でもない語句が、流石に英語 の授業の中では質問出来なかったようです。幸いに私の 担当していた子女のための日本語科目を履修したことに より、氷解なりました。又辞書の類語ではないが、固有 名詞そのものずばりの句。
 広辞苑載ってなかった広辞苑
 生駒 鯛が明日(平成二一年一〇月一八日) 思わず同じ語の繰り返しによって微笑みをさそわれると 共に、辞書としての『広辞苑』の重さが活写されていま す。
○短歌 広辞苑ひもとき見るにスモッグといふ語なかり き入るべきものを 新村 出
 新村出博士遺歌集『白芙蓉』のものとして『「広辞苑 物語」の「はじめに」』に紹介されています。今年もも う七月となり、平成から令和にかわり、めまぐるしく後 半を迎えますが第三十四回書写書道展覧会にむかって頑 張っていきましょう。

条幅作品の解説
阿 保 幽 谷

 主人不相識  偶坐為林泉
 莫謾愁沽酒  嚢中自有錢
読み ― 主人、相識らず、偶坐。林泉のためなり。謾に酒を沽うを愁うる莫れ。嚢中、おのずから錢あり
意味 ― 主人と、私とは顔見知りというわけではないが、突然、お訪ねして、かくの如く向かい合って坐っているのは、お宅の林泉が見事だと聞いて、一度はぜひ見せて頂き度いと思っていたからです。いやいや、何もおかまい下さるな、酒なぞ、御心配に及ばない。飲みたければ、金はこの囊中(ふところ)にあります。今日は、お庭を見せ  て頂くことが、わたくしの一番のご馳走なのです。
題目 ― 題袁氏別業
作者 ― 賀知章
学び方
 ○全体構成……二行、五言絶句、二十字.
  ・中心 ― 二行の中心をあわせ、二行目は、署名を入れても行が余ること。
  ・墨つぎ ― 「主」と「爲」と「囊」の三ヶ所で、墨一色で遠近感をだすために、墨つぎは太く、他の文字は大小の変化をつけて立体感を出す。特に墨つぎの前の文字は細くする。
  ・全体 ― 変化をつけて、全体がまとまるようにする。
 ○文字 ― 墨つぎは左右をたがい違いにし、変化をつけて、墨のついたところは太く、大小の変化や、太い細いの変化をつける。
  ・署名 ― 小さく書く。残った墨で。
  ・線の書き方 ― 墨のついたところは太く、だんだん細く、墨つぎの前の文字は細い。
 ○書体 ― 行書
 ○筆 ― 半紙を書く大筆で書いた。
 


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