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 先生からの言葉(巻頭言



「日本文字」を伝えよう
全国書教研連盟会長
安 藤 隆 弘


水無月 あっという間に六月 日本にも能登で大地震、 早くおさまってほしいものです。そして世界中平和にな りますように願います。
 ○隷書
『諸橋大漢和』隷 一、つく。二、したがふ(したがう)。 三、つかふ(使う)。四、しもべ。五、罪人。六、しらべ る。けみする。七、ならふ(習う)八、書体の名。隷書 を見よ。以下「隷書」の項目の中の一部
 漢字書体の一。篆書の転化で、今の楷書に近い者もの。 秦の始皇帝の時、程邈が小篆を更に省略して作ったとい う。『漢語大字典』①古代奴隷。(以下略)②附属(以 下略)③漢字字体的一種、即隷書。書体としての隷書 『書道辞典』(宇野雪村担当)では、古隷・八分・分隷・ 今隷などの名称を解説し、元来書体について明確な規定 はないに等しいと述べている。そして「書体名は時代に より、学者により呼称が異なり、同じ名称でも内包する ものが異なるので、その用法の時点で理解する必要があ る。」と
注意を喚起している。
 ふと足を止めて本章の見出しを見ると書体の順を「篆 ・隷・楷・行・草」と記した。『書道辞典』にも「漢字 の書体」(篆・隷・楷・行・草)とある。何時頃からの 用語であるのか、浅学には確かめようが無い。考えうる 範囲では、我が国に漢字が伝来した時にはすでに五体の 書体が完成していた。その形からの類推で、整っている 篆書が時代的に古く、だんだんと崩してきて最後に草書 になった移り変わりの順序と理解した。ところが『漢語 大字典』では「篆隷行草楷」である。これは完成の過程 を表現しているのではないだろうか。
 書研もいよいよ『三十七回書写書道展覧会』の応募が 始まり、多くの問い合わせがあります。今からでも遅く ありませんから多くの作品を書いて送って下さい。楽し みにしています。


条幅作品の解説
阿 保 幽 谷

「天 地 合 徳」

○読み方―天地は徳に合う 
○通釈―天も地も徳に合う
○出典―孔子廟堂碑 唐 虞世南
○書体―楷書
○学び方
 ●心構え―力を外に出さない。内にかくし、出来るだけ力を内にかくし、外の出さない。
 ●全体のまとめ方―中心をあわせ、天地を同じようにする。「天地」で墨をつけ最後の「徳」で  墨をつけ直す。  近代日本の書は、墨色の変化をあらわす。
 ●文字の形のとり方―「天地合徳」は中心にあわせ、半折の左右を少しあける。というのは、  署名を入れるのでその分をとる。ただし、真中あたりから印を押してもあまるようにする。
 ●線の書き方―この文字の特徴は、力を外に出さない。したがって上手と下手とは紙ひとえで  ある。だから九成宮醴泉銘を習ったことのない人には力が入らないので、九成宮醴泉銘を書い  た人に書かせる。それほど上手と下手とは紙一重である。  
 


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