TOP ⇒ 先生からの言葉

 先生からの言葉(巻頭言



来る年二〇二六
全国書教研連盟会長  村上美碩

新春の陽光清らかに映り、筆硯に向かう心もまた新た に澄みわたる季節となりました。皆さまにおかれまして は、つつがなく新年をお迎えのことと拝察し、心よりお 慶び申し上げます。
 年の始まりにあたり、私たちは改めて「書写書道」と 向き合う意義を考えたいと思います。書は文字の記録を 超え、自己と対話し、精神を整えるなどとても重要で大 切にされてきました。墨をすり、筆を運ぶ一文字一文字 に、その時の思いや生活が映し出されるからこそ、書は 常に新鮮で、また奥の深いものとされてきました。新年 は、そんな書写書道の本質に立ち返る好機でもあると思 います。
 昨年を振り返れば、世の中は変化の歩みを緩めること なく、私たち一人一人の生活や価値観にも影響をもたら しました。そのような時代だからこそ、筆をとり、墨を すり、自からの心と向き合うひとときが、拠り所となる と思われます。書写書道の力とは、目に見える美しさだ けでなく、日々の揺らぎを整え、基本を取り戻す力にほ かなりません。
 本年も、書研は学びの歩みをたゆまず、一丸となり、 基本を大切にしながらも新たな表現へと挑んでまいりた いと存じます。皆さまとともに、一年を通じて豊かな書 写書道の世界を育んでいければ、これに勝るものはあり ません。
 結びに、本年が皆さまにとって健やかで実り多き一年 となりますよう、心より祈念申し上げます。どうぞ本年 もよろしくお願い申し上げます。


条幅作品の解説
阿 保 幽 谷

白文―以 屈 為 伸
訓読文―以 屈 為 伸
読み方―屈を以って、伸と為す
意味―押さえつけられてたことによって、伸び伸びと成長していく。
  人間は、恵まれた環境の中で育つと、苦労を知らない。つい恵まれた人といっしょ  に生活している。本当は、よくなろうとしたら、自分から進んで苦労をし、他人のつ  らさを知ってはじめて自分のつらさがわかるものである。だから「屈を以て、伸とな  る」のである。
○学び方
 ・心構え―自分のつらさが、他人のつらさを知ってはじめてわかる。ということを心  にしっかりと持って、このことばを書くとよく書ける。
 ・全体のまとめ方―書道であるから、芸術的に美しく書きたい。美しい文字は、変化  をつけて調和を保つことである。小・中学生の時に習った、正しい文字を基礎に発展  させたいものである。美しい文字の大きなねらいは、変化をつけることである。変化  とは、形の変化、線の太い細いの変化、速さの変化、方向の変化などがある。  「以屈為伸」の文字の形には大小の変化がある。また、線の太いところは太く、細い  線は細く、またはかすれている。その他、方向の変化や、余白の変化も見ていってほ  しい、それでいて、調和を保つことを忘れないでほしい。
 ・文字の書き方―「以」は横長、「屈」はたて長、「為」は小さく、「伸」はたて長  というように変化がついている。
 ・線の書き方(筆つかい)―「以」の左側と「伸」の右側は太くして調和を保つ、余  白は広いところと狭いところに気をつける。
 ・筆脈―文字と文字は、離れていても皆つながっている。
 ・墨つぎ―「以」と「伸」の二か所でつける。

 


copyight (c) 2008 all rights reserved by shoken
designed by ingusto