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 先生からの言葉(巻頭言



「日本文字」を伝えよう
全国書教研連盟会長
安 藤 隆 弘


 師走 なんとなく急ぎ足で日が暮れて行きます。もう 今年も終わりに近づいています。
 そして正誤の締めくくりとして、字体・字形について 比較的変転の著しい「しんにゅう」について資料を提供 します。
 呼び名について 発音
 小学校教育では「しんにゅう」として指導し、現行の 辞典では「しんにょう・しんにゅう」、また前時代にはこ れらに加えて「しにょう・しにゅう」と称されてきまし た。部首としての形の分類では繞(にょう)であり、語 の末尾が「にゅう」であるので、語の末尾が「にゅう」 となったのは音便変化によります。主要辞書での取り扱 い『大言海』では『志んにょう(名)〔之繞〕志んねうノ 条ヲ見ヨ。』「志んねう シンニュウ(名)〔之繞〕(字の 音、志ねうノ音便、進読の義・・・)」と説きます。  中学生用は『チャレンジ国語』辞典(福武書店 平成 三年)での取り扱いです。
 形について
 部首としては「辵」、六画に配属されています。明治 以降の教科書には三種類の楷書体が示され、「当用漢字 字体表」が加わり、初学者にはその変容は理解しにくい のではないのか。文字の解説については、前記三辞典と 『大系漢字明解』(髙田忠周述)それぞれ大同小異なの で、次のようにまとめました。
 字源は篆書「辵」から隷書「辶」が成立、それがその まま楷書体の繞部分となり、変容していきます。語の意 味は「乍(たちまち)行き、乍ち止まる」とされていま す。説明の便宜上、それぞれの実現体に、全く私見によ る名を当て、それの出現資料の名を掲げました。
 今年一年、元気で楽しく皆様にお会いできたことを心 より感謝いたします。又、健康で楽しく過ごせますよう にお祈りいたします。


条幅作品の解説
阿 保 幽 谷

○作品―遊 戯 三 昧
○書体―行書
○読み方―ゆうぎ ざんまい
○語釈
 ● 遊戯―遊ぶ
 ● 三昧―夢中になる。熱中する。心のままになること。
○意味―遊ぶときは、勉強や仕事のことは忘れて、そのことに熱中すること。したが  って、勉強や仕事に打ち込むときは、そのものに打ち込むことが大切である。すな  わち、いいかげんなことはしないこと。
○文字数―半切四文字
○学び方
 ● 心構え―何をするにも、どっちつかずないい加減なことはしないで、そのものに  打ち込むことが大切である。このような心構えをもってこの字を書くとよい。
 ● 全体のまとめ方―書道で大切なことは、変化をつけて調和を保つことである。  変化は無限であるから、いろいろな変化のつけ方がある。そして、変化をつけたら、  おかしくないようにバランスを保つことが書道である。
  この作品では、一つ一つの文字は変化している。それでいて、半切の大きさの中  で四文字の調和を保つように工夫している。
   中心はそろっている
   余白のとり方は、大体そろっている
   また、文字の形に変化がついているが、全体として四文字のバランスがよい  これらのことを考えて書く。
 ● 文字の形―「遊」は、しんにょうを下げ、「戯」は傾めのそりを長く、「三」は  横画の方向に変化をつけて調和を保っている。「昧」はたて画をそって長く書き、
 「戯」のそりと対照的である。
  ● 線の書き方―線は、太い、細いと中間の三つの大きさ、太さに分かれている。  これに気をつけると同時に「方向」の変化にも気をつけたい。
 


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